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理論上は可能!ショートスリーパーに関する実験結果は?

赤ちゃんの睡眠時間 今日のニュース

何かと話題のショートスリーパー。

論文やエビデンスでは、ショートスリーパーは後天的には身につかないと言われているショートスリーパーですが本当にそうなのでしょうか?

今回はそんなショートスリーパーに関する実験の結果や実際学術界隈ではどういわれているのかご紹介します。

理論上はショートスリーパーを再現できる可能性がある

これまでの研究では、DEC2(BHLHE41)の変異をマウスに導入すると、実際にヒトと同じような短時間睡眠の性質が再現されています。

ショウジョウバエでも同様の変異を発現させると短時間睡眠の表現型が生じたことが報告されています。つまり、「その変異が短時間睡眠を引き起こす原因である」という因果関係は動物モデルでかなり確からしく示されています

理屈の上では、CRISPRなどのゲノム編集技術でヒトの体細胞や生殖細胞にこの変異を導入すれば、同様の短時間睡眠体質が生まれる可能性はゼロではありません。

しかし、実際には「できる」とは言えない理由

1. 技術的な壁
現在のゲノム編集技術は、狙った場所だけを正確に書き換える精度(オフターゲット効果の排除)が完全ではありません。脳全体、あるいは全身の細胞に変異を導入するには、安全な送達方法もまだ確立されていません。

2. 未知の副作用のリスク
DEC2は睡眠だけでなく、免疫細胞の分化やがん抑制的な働きなど、体内の複数の機能に関わっていることが分かっています。睡眠を短くする目的で変異を入れても、他の生理機能に予期せぬ悪影響が出る可能性があります。

3. 倫理・法規制の壁
生殖細胞系列(受精卵など)へのゲノム編集は、多くの国で法律や国際的なガイドラインにより厳しく制限・禁止されています。「病気の治療」ではなく「望ましい体質を得る」ための編集は、いわゆるデザイナーベビー問題とも直結し、社会的合意が得られていません。

4. ヒトでの臨床応用は行われていない
現時点で、DEC2やADRB1の変異を人為的に導入して短時間睡眠を実現するような治療や介入は、臨床試験段階にすら至っていません。あくまで動物モデルでの基礎研究の段階です。

万が一の可能性も・・・

しかし、遺伝子が突然変異可能性は0ではありません。

たとえば、環境変化や精神的ストレスが与える影響DNAの損傷や複製エラーの確率を间接的・直接的に高める要因になることは知られています。

  • 急激な環境変化(温度・化学物質・紫外線など)
    細胞に強い負荷がかかると、代謝が乱れて活性酸素の産生量が急増します。また、組織がダメージを受けた細胞を修復するために「細胞分裂」を急ピッチで行うため、それに伴ってDNA複製エラーの発生頻度も跳ね上がります
  • 精神的ストレスの影響
    長期的な精神的ストレス(心理的負荷)は、自律神経やホルモンバランス(コルチゾールなどの分泌)を介して全身に影響を与えます。これにより体内の慢性的な炎症や酸化ストレスが引き起こされ、活性酸素が増加します。結果として、活性酸素がDNAを直接傷つけたり、細胞の老化を早めたりして、変異のリスクを高めることが科学的に示されています。

まだ、遺伝子の構造やメカニズムについては解明されていない部分があるため、もしかすると、ショートスリーパーの遺伝子を持っている人が、後天的にショートスリーパーになる可能性は0とはいえないかもしれません。

まとめ

理論上は「同じ変異を再現すれば同じ体質になる可能性が高い」と考えられますが、

  • 安全に狙った通りに編集する技術がまだ確立していない
  • 他の身体機能への影響が未知数
  • 倫理的・法的に大きな制約がある
  • ヒトでの実施例は存在しない

という理由から、「突然変異を人為的に起こしてショートスリーパーになる」ことは、現時点では理論上の可能性であって、実現可能な選択肢ではありません。もし将来的にゲノム編集技術が進歩したとしても、こうした「能力増強」目的の編集が実際に行われるかどうかは、科学よりもむしろ倫理や社会的合意の問題になってくるでしょう。


参考論文

  1. Ashbrook LH, et al. “Genetics of the human circadian clock and sleep homeostat”(DEC2変異のマウスモデル研究)  DEC2(hDEC2-P384R)変異マウスにおいて、オレキシン(prepro-orexin)遺伝子の発現が増加し、短時間睡眠が生じる分子メカニズムを報告。  https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5879715/
  2. 出典: https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.04.25.538137.full.pdf(bioRxiv、Pandey et al., 2023)
  3. Jorgensen et al. “Association of Oxidative Stress–Induced Nucleic Acid Damage With Psychiatric Disorders in Adults” 慢性的な精神的ストレスや精神疾患における、活性酸素によるDNA・核酸の酸化損傷(8-oxo-dGなどのバイオマーカー上昇)の相関を大規模データやシステマティックレビューで解説。 https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry (※JAMA Psychiatry等の関連論文データベース参照)
  4. Flint & Bovbjerg “DNA damage as a result of psychological stress: implications for breast cancer” 心理的ストレスが交感神経やアドレナリン受容体を介して細胞内にDNA損傷を引き起こし、DNA修復機構に影響を与える分子メカニズムを論じた総説。 https://breast-cancer-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/bcr3158

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