私たちが納める税金は、毎年膨大な額が政府から企業や団体へ補助金として支出されています。
しかし、その詳細はなかなか公開されず、国民の目が届きにくいのが実情です。
2025年11月25日政府が租税特別措置(租特)や補助金を点検し、無駄を削減する組織「租税特別措置・補助金見直し担当室」を設置したと発表しました。
この日本版DOGEは、2025年3月16日、公認会計士で東京都議会議員のさとうさおり氏が投稿した
「日本版DOGE 補助金ランキング」は、そんな不透明な税金の流れを可視化する画期的な試みとして注目を集めています。
日本版DOGEとは?税金の透明化を目指す取り組み

「DOGE」は元々、政府支出の無駄を削減するための監視ツールを指す概念です。さとう氏らが推進する日本版DOGEは、減税党のチームが中心となって作成したもので、令和5年度の各省庁補助金データを集計し、受給者ごとの総額と回数をランキング形式で公開しています。
約28,686件のデータが一覧化され、誰でも無料でアクセス可能なこのランキングは、税金の「ブラックボックス」を覗く窓となっています。暫定版サイトでは、補助金の交付先と金額を確認でき、今後はフィルタ機能(省庁別・金額別)の追加も予定されています。
ランキング上位に見る予算配分の実態

令和5年度のランキング上位には、国の重点政策分野が明確に表れています。
トップ3:研究開発と社会保障の柱
第1位:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
総額約2兆6,716億円(12回)
グリーンイノベーションやエネルギー分野における大規模な研究開発、技術実証プロジェクトに対し、国が巨額の予算を投じていることを示しています。カーボンニュートラル達成に向けた国家的な戦略投資の規模が反映されています。
第2位:全国健康保険協会
総額約1兆2,786億円(14回)
主に中小企業で働く人々の健康保険を運営するための公費負担分であり、日本の根幹を支える社会保障分野における重要な予算配分です。
第3位:日本私立学校振興・共済事業団
総額約5,594億円(12回)
私立学校への助成や教職員の共済事業を担っており、教育振興と私学の経営基盤安定に対する国の支援体制を示しています。
注目すべき民間企業の存在
第4位:株式会社博報堂
総額約5,121億円(9回)
民間企業である博報堂が上位にランクインしている点は特筆に値します。持続化給付金事業やGo Toキャンペーンなど、国の大規模な事業運営や事務局業務を請け負ったことの結果と考えられ、パンデミック対応や経済対策における大規模な委託事業の存在を示しています。
投稿後のリプライでは「税金で広告業界を支える必要があるのか?」といった議論も巻き起こり、補助金配分の在り方について市民の関心を集めています。
地方自治体と科学技術分野
第5位:東京都
総額約3,636億円(379回)
第9位:北海道
総額約3,138億円(493回)
地方自治体が多数回にわたり補助金を受け取っているのは、防災、地域振興、インフラ整備、福祉など、多岐にわたる国策を現場で実施するための予算が、細やかに配分されている実態を反映しています。
また、JAXA(第6位)、AMED(第8位)、JST(第10位)といった最先端の研究開発分野を担う組織が上位に名を連ねており、科学技術立国としての国家戦略が読み取れます。
詳しくはこちらの令和5年度補助金ランキング(全体)から見ることができます。
データが示す構造的課題
ランキングを分析すると、いくつかの構造的な特徴が浮かび上がります。
- 総件数28,686件のうち、99%が1億円未満
- 上位1%が全体の半分以上を占める「逆ピラミッド構造」
- 最下位(28,686位)はわずか1,220円と、極端な格差
さらに、一部のエントリーには検証が必要なものも含まれています。
例えば、岩国市長個人名義で94億円の補助金が記載されているケースなど、データの精査を通じて透明性を高めていく必要があります。
上記の内容は11/26日現在X上ではやり取りされており、岩国飛行場の整備費用の内訳と報告されています。
なぜ今、この活動が重要なのか
日本では、税収の約3割が補助金・交付金として支出されますが、会計検査院の報告書すら一般公開が不十分です。
さとう氏のランキングは、こうした公的データを二次加工し、誰でも理解しやすい形にまとめました。
投稿のエンゲージメント(いいね28,000超、閲覧180万回)は、市民の関心の高さを証明しています。
リプライでは「バラマキの詳細が知れた」「減税党に入党検討」との声が相次ぎ、即座に影響を生んでいます。
さとう氏は「デモに出ない=戦っていない、ではない」と強調し、現場の声とデータの論理的分析を組み合わせることで、世論を動かせると語っています。
私たちにできること:小さな一歩から

この活動が示すのは、「データ駆動型アクティビズム」の可能性です。私たちにできることは:
- サイトを訪れて実際のデータを確認する
暫定版ですが、確定版ではより詳細な検索機能が追加予定です - SNSでシェアし、議論を広げる
税金の使い道について、建設的な対話を促進します - 地元自治体の補助金公開を要望する
地域レベルでの透明性向上を求めていきます - 継続的に関心を持つ
補助金の流れをチェックする習慣を身につけます
もちろん、データは暫定版であり誤りが含まれる可能性もあります。
さとう氏自身もリプライで精査を呼びかけており、完全性を目指す過程が、むしろ信頼を築いていきます。
まとめ
令和5年度の補助金ランキングは、「新技術・エネルギー開発」「国民の社会保障・健康」「教育」という国の三本柱となる政策分野に予算が集中していることを示しています。
同時に、巨大な経済対策事業や地域に根差した政策実施のための配分も、国政運営において不可欠な要素となっています。
さとうさおり氏の取り組みは、単なるランキング公開ではなく、市民が税金の使い道を監視し、声を上げる力を持つことの象徴です。
税金の流れを可視化することで、私たちは「無力感」から脱却できます。
読者の皆さん、今日から一歩。サイトを開き、数字に触れてみませんか?
それは、未来の自分と次世代への投資なのです。
本記事は、2025年3月時点の暫定版データに基づいています。最新情報は公式サイトをご確認ください。



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