2026年2月22日、ミラノ・コルティナ冬季五輪の最終日、コルティナ・スライディングセンターにてボブスレー4人乗り男子の決勝が行われました。大会のフィナーレを飾るこの競技は、まさに「氷上のF1」の名にふさわしい、時速137kmを超える極限の世界での戦いとなりました。
伝統のコースに刻まれた新たな歴史と、ドイツ勢による異次元のスピードバトルを詳報します。
最終リザルト:ドイツの二人の「皇帝」による頂上決戦

金メダル争いは、ボブスレー界を牽引するドイツの2チームによる、コンマ数秒を争う異次元の戦いとなりました。
| 順位 | パイロット(国名) | タイム | 差 | 最高時速 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🥇 1位 | J. ロッホナー(GER) | 53.91 | — | 137.82 km/h | トラックレコード(TR) |
| 🥈 2位 | F. フリードリッヒ(GER) | 54.12 | +0.21 | 137.40 km/h | |
| 🥉 3位 | M. フォクト(SUI) | 54.40 | +0.49 | 136.95 km/h | |
| 4位 | B. メイヤー(AUT) | 54.55 | +0.64 | 136.10 km/h | |
| 5位 | E. ハル(USA) | 54.62 | +0.71 | 135.80 km/h |
ヨハネス・ロッホナー、53.91秒の衝撃
金メダルに輝いたのは、ヨハネス・ロッホナー率いるドイツ1号機。ロッホナーは、スタートから完璧なコントロールを見せ、全計時ポイントでトップを維持する圧巻の滑走を披露しました。
特に、中間地点を過ぎてからの加速は目を見張るものがあり、最終的に53.91秒という驚異的なトラックレコード(TR)をマーク。最高時速137.82kmという弾丸のようなスピードでゴールラインを駆け抜け、ミラノ・コルティナの地にその名を刻みました。
4.71秒の爆発力:スタートにかけたチームの意志
ボブスレー4人乗りにおいて、勝敗の鍵を握るのがスタートダッシュです。今大会、前日の21日には銀メダルのフランチェスコ・フリードリッヒ組が、4.71秒という驚異的なスタートレコードを記録しました。
4人の屈強な男たちが一糸乱れぬ動きでソリを押し、時速40km近くまで加速させた状態で狭いコクピットへと飛び込むその技術。フリードリッヒ組はこの爆発的なスタートでロッホナーを猛追しましたが、後半の滑走技術でわずか0.21秒及ばず。しかし、ドイツ勢が金・銀を独占する圧倒的な力を見せつけました。
氷上のF1:限界を超えた操縦と信頼
時速137kmを超える世界では、わずかなステアリングのミスが致命的なタイムロス、あるいは転倒に繋がります。パイロットの繊細な指先の感覚と、後方の3名のプッシャーによる完璧な重心移動。
スイスのミヒャエル・フォクト組は、ドイツ勢の独走を許すまいと、最高時速136.95kmの鋭い滑りを見せ、見事銅メダルを死守しました。彼らの信頼関係が生み出す「静かなる加速」は、まさにチームスポーツとしてのボブスレーの醍醐味を象徴していました。
コルティナに響くフィナーレの歓喜
アイスホッケー男子決勝と並び、五輪最終日のメインイベントとなったこの一戦。全滑走が終了した瞬間、コルティナ・スライディングセンターは、勝者を讃える歓声と、17日間にわたる聖典を終える感慨に包まれました。
伝統のコース「コルティナ」に刻まれた新たなレコード。
それは、4年後のフランス五輪へと続く、スピードの追求の新たな出発点でもあります。
※本記事の結果は2026年2月22日の公式リザルト(Omega作成)に基づいています。


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