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ミラノコルティナ五輪スキージャンプLH|二階堂蓮、歴史を塗り替える銀メダル!プレヴツが逆転V、小林陵侑も2本目で6位入賞

スキージャンプ 冬季オリンピック

イタリアの夜空を舞う鳥たちの饗宴は、劇的な幕切れを迎えた。2026年ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ冬季五輪、スキージャンプ男子個人ラージヒル(HS141m、K点128m)決勝。プレダッツォ・スキージャンプ・スタジアムに集まった大観衆が見守る中、日本の新星・二階堂蓮が五輪の歴史にその名を刻む銀メダルを獲得した。

優勝はスロベニアの至宝、ドメン・プレヴツ。2本目に異次元の飛躍を見せ、1本目の劣勢を覆す逆転劇で金メダルを手中に収めた。一方で、日本勢のエース小林陵侑も2本目に意地を見せ、11位からの急上昇で6位入賞。日本ジャンプ界の「現在」と「未来」が交錯する、極めて濃密な一夜となった。

牙を剥いたプレダッツォ:過酷な気象条件

大会当日のプレダッツォは、五輪の魔物が潜むにふさわしい荒天に見舞われた。公式リザルトには「Snow and rain(雪と雨)」の文字。気温は氷点下に近いものの、湿った雪が選手たちのスーツを濡らし、視界を遮る。

風も気まぐれだった。第1ラウンドでは、二階堂が飛んだ際には秒速0.24mの追い風、あるいは微風。しかし、ゲート設定や風の補正(ウィンド・コンペンセーション)が刻一刻と変化し、技術だけでなく「運」と「適応力」が試される過酷な舞台となった。

第1ラウンド:二階堂蓮、静寂を切り裂く完璧な飛翔

日本中の期待を背負った二階堂蓮の1本目は、まさに「神がかり的」だった。

カランコロンと響くカウベルの音の中、ゲートを蹴り出した二階堂は、時速94.4kmの鋭い助走から完璧なタイミングで踏み切った。鋭角なV字を描きながら、重く湿った空気を切り裂く。着地地点は、ヒルサイズに迫る140.0m。

特筆すべきは、その空中姿勢の美しさだ。5人の審判のうち3人が19.0点の高得点をつけ、飛距離点81.6点にスタイル点を加えた合計は154.0点。2位のドメン・プレヴツ(147.0点)に7.0点という大きな差をつけ、堂々の首位に立った。この瞬間、1998年長野五輪の船木和喜氏以来となる「日本人ラージヒル金メダル」の夢が、現実味を帯びて世界を駆け巡った。

最終ラウンド:王者の逆襲と「6.8点」の壁

しかし、五輪の金メダルはそう簡単に手に入るものではなかった。最終ラウンド、29番目に登場したドメン・プレヴツが、スロベニア伝統の「飛行能力」を爆発させる。

プレヴツは2本目、ゲートが1つ上がりスピードに乗ると、この日最長不倒となる141.5mを記録。K点を13.5mも越える大ジャンプに加え、着地ではテレマークを完璧に決め、審判3人が19.5点をつける「ほぼ満点」の評価を得た。2本目単独1位となる154.8点を叩き出し、合計301.8点。後続に巨大なプレッシャーを突きつけた。

最終ジャンプ、スタジアムが静まり返る中で二階堂が登場した。金メダルに必要な距離は130m台後半。二階堂は果敢に攻めたが、空中でわずかに失速し、距離は136.5mに留まった。 合計得点は295.0点。プレヴツには6.8点及ばなかったものの、ポーランドのトマシャク(291.2点)の猛追を振り切り、銀メダルを確定させた。

■ 最終リザルト・トップ6

順位選手名国(NOC)1本目(点)2本目(点)合計ポイント
ドメン・プレヴツSLO147.0154.8301.8
二階堂 蓮JPN154.0141.0295.0
カツペル・トマシャクPOL141.8149.4291.2
4K.E.スンダルNOR145.0143.0288.0
5ヤン・ホールAUT141.7145.2286.9
6小林 陵侑JPN134.9149.6284.5

エースの誇り:小林陵侑の「裏・1位」級の追い上げ

この日、二階堂と共に日本を沸かせたのがエース小林陵侑だ。 1本目、小林は134.9点で11位と大きく出遅れた。表彰台は絶望的かと思われたが、ここからが「世界のコバヤシ」の本領発揮だった。

2本目、小林は技術の粋を集めた138.5mのジャンプを披露。2本目だけの得点(149.6点)で見れば、逆転優勝したプレヴツに次ぐ全体2位の記録である。この怒涛の追い上げにより、一気に5人を抜き去り、最終順位を6位まで押し上げた。

メダルには届かなかったものの、エースとして「最後まで諦めない背中」を見せた小林の存在が、2位に入った二階堂の精神的な支えになったことは想像に難くない。

詳細分析:二階堂蓮、メダル獲得の要因

二階堂がこの歴史的快挙を成し遂げた要因は、安定した「空中技術」と「補正への適応」にある。

項目第1ラウンド最終ラウンド
飛距離140.0 m136.5 m
飛距離点81.675.3
審判点(スタイル)57.0 (19.0/19.0/19.0)56.0 (18.5/19.0/18.5)
ウィンド補正+4.5 (向風・追風加味)+4.3 (向風・追風加味)
ゲート補正+10.9 (Gate 15)+5.4 (Gate 15)
合計得点154.0141.0

特に第1ラウンドでのスタイル点「57.0」は、世界トップクラスの選手と並ぶ評価であり、二階堂が「飛距離が出るだけの選手」から「美しく、遠くへ飛ぶ完成された選手」へと進化したことを裏付けている。

日本ジャンプ界の展望:ミラノからその先へ

二階堂蓮(当時24歳)の銀メダル獲得は、日本スキージャンプ界にとって計り知れない希望となった。長らく小林陵侑一強時代が続いていた日本男子において、五輪という極限の舞台で「勝てる」若手が登場したことは、4年後の2030年大会、そしてその先を見据える上で最大の収穫と言える。

また、16位に入った中村直幹の健闘も見逃せない。日本チーム全体として、どんな気象条件でも30位以内に複数が残り、上位を争う。かつての「日の丸飛行隊」を彷彿とさせる層の厚さが戻りつつある。

二階堂蓮選手のコメント

「1本目が良かっただけに、正直悔しい気持ちもあります。でも、この大きな舞台で自分のジャンプができたことは自信になりました。このメダルの重みを噛み締めて、また次の戦いに向かいたいと思います」

まとめ

イタリアの冬の雨は、二階堂蓮の頬を濡らした。それが悔し涙だったのか、あるいは極限の集中から解放された安堵の汗だったのかは本人にしかわからない。しかし、プレダッツォの空に翻った日の丸と、彼の首にかけられた銀色の輝きは、日本ジャンプ界の新しい夜明けを告げる光であった。

私たちは今日、新たなヒーローの誕生を目撃した。ドメン・プレヴツという巨大な壁を越え、頂点に立つ日は、そう遠くないはずだ。

男子ラージヒル個人スキージャンプ
混合団体スキージャンプ
男子ノーマルヒル個人スキージャンプ
二階堂蓮選手のミラノコルティナ2026記録(2026/2/15)

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