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2026年ミラノ・コルティナ五輪:フィギュアスケート完全ガイド

アイススケートを滑る女性 スポーツ

2026年2月、イタリアの北部に位置するミラノとコルティナ・ダンペッツォで冬季オリンピックが開催されます。数ある競技の中でも、華やかさと高い技術で注目を集めるのがフィギュアスケートです。

しかし、今大会のフィギュアスケートは、私たちがこれまで見てきたものとは決定的に異なります。北京五輪での騒動を経た国際スケート連盟(ISU)による抜本的な改革により、競技のルール、出場選手の顔ぶれ、そして「勝利の方程式」が大きく変わりました。

本記事では、ミラノ・コルティナ五輪を120%楽しむために、新ルールの全貌と競技の奥深さを5つの章にわたって徹底解説します。

フィギュアスケートの競技種目の全貌とオリンピックの構成

オリンピックマーク

フィギュアスケートのオリンピック競技は、大きく分けて個人戦の4種目と、国別対抗の団体戦で構成されています。

1. シングル(男子・女子)

一人で滑る、最もポピュラーな種目です。「ショートプログラム(SP)」と「フリースケーティング(FS)」の合計点で順位が決まります。

  • ショートプログラム(SP):2分40秒(±10秒)の中で、決められた7つの要素(ジャンプ3本、スピン3個、ステップ1個)を正確にこなす「ミスが許されない」戦いです。
  • フリースケーティング(FS):4分(±10秒)の中で、自由な音楽に合わせて物語性を表現します。ジャンプ、スピン、ステップに加え、コレオグラフィック・シークエンスが含まれます。

2. ペア

男女がカップルを組んで滑ります。シングルの技術に加え、ペア特有の技があります。

  • スロージャンプ:男性が女性を放り投げ、女性が空中で回転して着氷します。
  • ツイストリフト:男性が女性を空中に放り上げ、女性が回転した後に男性がキャッチします。
  • デススパイラル:男性を軸に、女性が氷面スレスレで円を描く、ペアの象徴的な技です。

3. アイスダンス

「氷上の社交ダンス」と呼ばれ、ペアとは異なり「ジャンプ」や「頭上へのリフト」は禁止されています。

  • リズムダンス(RD):毎年指定されるテーマ(2026年は過去の社交ダンスや特定の音楽ジャンル)に基づいたダンスを披露します。
  • フリーダンス(FD):より自由な表現で、深いエッジワーク(氷を削る技術)や複雑なステップ、息の合ったリフトを競います。

4. 団体戦(チームイベント)

2014年ソチ五輪から導入された種目です。10カ国が参加し、全種目の総合ポイントで競います。日本は前回大会で銀メダル(繰り上げ)を獲得しており、今大会では金メダル候補の一角として期待されています。

フィギュアスケートの歴史を変えた「3つの新ルール」

スケートリンクに立つ女性

今大会が「フィギュアスケートの歴史的転換点」と言われる理由は、以下の3つのルール変更にあります。

1. 出場年齢制限の引き上げ(シニア17歳以上)

北京五輪で起きたドーピング騒動と、15歳前後の若年層選手にかかる過度な身体的・精神的負荷を考慮し、シニア大会の出場可能年齢が「15歳」から「17歳」(五輪前年の7月1日時点)へと段階的に引き上げられました

かつては「15歳の少女が4回転を跳び、17歳で引退する」という消耗戦の様相を呈していました。

しかし、今大会では、若さによる爆発力よりも、トレーニングを積み重ねた「成熟したスケーティング」と「安定感」を持つ20代前後の選手が主役となります。

2. フリーのジャンプ本数が削減(7本→6本へ)

男女シングルのフリースケーティングにおいて、これまで「7本」だったジャンプ要素が「6本」に削減されました。これは数十年に一度の大きな変更です。

ジャンプを1つ減らすことで、選手の疲労を軽減するとともに、ジャンプ以外の要素(スピン、ステップ、表現、コレオグラフィック・シークエンス)をより丁寧に、かつ独創的に表現する時間を確保するためです。

また、1本のジャンプによる加点よりも、プログラム全体の「調和」や「繋ぎの動き」が勝敗に直結するようになります。

3. 新要素「コレオグラフィックスピン」

従来の「技術の難易度(レベル)」を競うスピンとは別に、スピンを振り付け(コレオグラフィー)の一部として評価する「コレオグラフィックスピン」が導入されます。

回転数やポジションの厳格なルールよりも、音楽との調和や観客を魅了する独創性が重視されます。選手の個性が最も現れるポイントになるでしょう。

フィギュアスケートの採点方法とは?

スコアボード

フィギュアスケートの採点は非常に複雑ですが、大きく2つの柱で構成されています。

1. 技術点(TES:Technical Element Score)

それぞれの技に設定された「基礎点(BV)」に、審判がつけた「出来栄え(GOE)」を加算したものです。

GOE(Grade of Execution)は-5から+5の11段階で評価されます。同じ4回転ジャンプでも、高く、美しく、音楽に完璧に合っていれば+5。逆に転倒すれば-5(さらに1点の減点)となります。

ミラノ五輪の傾向ではジャンプの本数が減ったため、1つひとつのジャンプの「質」がこれまで以上に重要になります。

演技構成点(PCS:Program Components Score)

技以外の「演技の質」を評価するもので、以前の5項目から以下の3項目に集約されました(各10点満点)。

  1. スケーティング技術(Composition)
    エッジの深さ、スピード、加速の滑らかさ。
  2. プレゼンテーション(Presentation)
    選手自身のエネルギー、観客へのアピール、動きの明快さ。
  3. 構成(Composition)
    プログラムの構成、リンクの使い方の独創性、音楽との調和。

技術点(TES)が「アスリートとしての能力」なら、演技構成点(PCS)は「アーティストとしての能力」と言えます。

フィギュアスケート団体戦の戦略と日本のメダル獲得への道

金メダル

団体戦は個人戦の前に行われるため、大会の流れを作る重要な種目です。

1. ポイント制と決勝進出の条件

  • 各種目(男子・女子・ペア・アイスダンス)の順位ごとにポイント(1位=10点、10位=1点)が付与されます。
  • ショートプログラム(SP/RD)終了時点で、上位5カ国のみがフリースケーティング(FS/FD)に進めます。

2. 「選手交代」というチェス

団体戦では、予選(SP)から決勝(FS)へ向かう際に、最大2つのカテゴリーで選手を入れ替えることが可能です。

例えば、男子シングルで、ショートはSPの得意な選手A、フリーはスタミナのある選手Bという起用。

日本の戦略は日本は男女シングルで層が厚いため、ペアやアイスダンスの負担を減らしつつ、各国の弱点を突くオーダーが鍵となります。三浦璃来・木原龍一組(りくりゅうペア)や、成長著しい若手の起用がメダルの色を決定づけるでしょう。

観戦をより深く楽しむためのチェックポイント

3つのポイントを教えている男性

テレビの前で応援する際、以下のポイントを意識すると「審判の視点」で観戦できます。

1. 演技直後の「技術ボックス」に注目

画面左上に表示されるボックス(緑・黄・赤の色分け)は、リアルタイムの審判判定です。

  • :現時点での判定は「クリア(加点対象)」。
  • :回転不足の疑いや、エッジの使い方の判定中。
  • :転倒や明らかなミス。 演技終了時にボックスがほぼ全て緑であれば、ハイスコアが期待できます。

2. 「ジャンプシークエンス」の美しさ

近年、2つのジャンプを繋げる「ジャンプシークエンス(例:4回転+2回転アクセル)」の評価が上がりました。かつては基礎点が低かったのですが、現在は繋ぎの美しさも高く評価されます。重力に逆らうようなダイナミックな流れに注目してください。

3. コレオグラフィック・シークエンス(ChSq)

フリースケーティングの終盤、ジャンプを全て跳び終えた後に選手が全力で滑るパートです。ここでは技術的な制限がなく、選手が自分の感情を最大限に爆発させます。ミラノ五輪ではここでの盛り上がりが、演技構成点(PCS)の評価を大きく左右します。

結び:氷上に刻まれる新たな物語

ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケートは、単なる「スポーツ」を超えて、より高度な「芸術」へと回帰しようとしています。17歳以上の大人のスケーターたちが、ジャンプの本数という制約の中で、どのように自身の人生や感情を氷上に投影するのか。

ルールを知ることは、選手たちの努力の「解像度」を上げることでもあります。日本代表の活躍はもちろん、世界中のスケーターたちがイタリアの氷上で見せる「究極の美」と「不屈の精神」に、ぜひ熱い声援を送ってください。

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