鏡で毛先をチェックするたびに見つけてしまう、枝毛。
20代から30代は、仕事やプライベートで最も活動的で、ヘアカラーやパーマ、毎日のコテ・アイロンを使ったスタイリングを楽しむ方が多い年代です。
しかし、その“美しさへの追求”の裏側で、髪には知らず知らずのうちに深刻なダメージが蓄積しています。
「トリートメントを頑張っているのに、なぜか枝毛が減らない…」
もしあなたがそう感じているなら、それは高価なケア用品の問題ではなく、実は毎日の何気ないNG習慣が原因かもしれません。
枝毛とは、髪のダメージが限界に達したサインです。
この記事では、枝毛が増えてしまう人の共通点を洗い出し、あなたが無意識に行っている「やってはいけないNG習慣」を徹底的に解説します。
今日からNG行動を改善し、「枝毛の呪縛」から解放され、触りたくなるようなツヤ髪を手に入れましょう。
枝毛が発生する科学的メカニズム
なぜ髪は枝毛になるのでしょうか。その構造を理解することで、対策の重要性が腑に落ちるはずです。
1. 枝毛は「髪の繊維のほつれ」
健康な髪は、一本の繊維のように強くまとまっています。この髪の主成分は、硬いタンパク質であるケラチンです。
髪の表面は、魚の鱗のように何層にも重なったキューティクルで覆われ、内部のケラチン繊維と水分を保護しています。しかし、熱や薬剤、摩擦といったダメージを繰り返し受けると、キューティクルが剥がれ落ちてしまいます。
- 内部の露出: キューティクルが剥がれると、むき出しになった髪の内部(コルテックス)のタンパク質繊維が流出しやすくなります。
- 繊維の分裂: この露出した部分がさらに乾燥や摩擦を受けると、髪を構成する繊維が徐々にバラバラになり、最終的に毛先が縦に裂けて二股や三股に分かれてしまいます。これが枝毛です。
1-2. 枝毛が増える人の「髪内部」の共通点
枝毛が増える人に共通しているのは、髪の内部がスカスカになった「ポーラスヘア(多孔質毛)」になっていることです。
髪の密度が低いため、外部の刺激に対する抵抗力がなくなり、一度ダメージを受けると急激に状態が悪化します。
無意識に枝毛を増やす「日常のNG習慣」4選
枝毛は、特別なダメージだけでなく、毎日のルーティンの中に潜む小さなNG行動の積み重ねで発生します。
NG習慣①:シャンプー時の「ゴシゴシ摩擦洗い」
「髪と頭皮をしっかり洗いたい」という思いから、髪同士を激しくこすり合わせたり、爪を立てて頭皮を洗ったりしていませんか?
ゴシゴシ洗うときもちいかもしれませんが、頭皮や髪には深刻なダメージとなる場合があります。
- 影響: 髪が濡れているときはキューティクルが開いて無防備な状態です。このときの強い摩擦は、キューティクルを無理やり剥がし、枝毛への道筋を作ります。
- 改善策: シャンプーはよく泡立てて、泡で髪全体を包むように洗いましょう。頭皮は指の腹で優しくマッサージするように洗うのが鉄則です。
NG習慣②:タオルドライの「絞る・こする」
お風呂上がりの習慣は、枝毛を左右する重大な分かれ道です。水分を早く取りたいからと、髪を強く絞ったり、ガシガシとタオルでこすったりしていませんか?
タオルで拭く時はどうしても擦りがちですが、摩擦の影響で髪にダメージが蓄積します。
- 影響: この摩擦行為も、開いたキューティクルに大打撃を与えます。特に細い髪やダメージ毛は、この段階で繊維が折れやすく、切れ毛や枝毛の直接的な原因になります。
- 改善策: 吸水性の良いタオルで髪全体を包み込み、ポンポンと優しく叩くように水分を吸い取ります。決してこすらず、水分を押さえ込むイメージで行いましょう。
NG習慣③:濡れ髪の放置と「自然乾燥」
ドライヤーの熱が嫌いだからと、髪を自然乾燥させていませんか?
長髪の人に多い傾向ですが、面倒でついつい後回しにしがちだと、ダメージの蓄積につながります。
- 影響: 濡れた髪は、キューティクルが開きっぱなしの状態。そのまま放置すると、髪内部の水分が過度に蒸発し、乾燥が進みます。さらに、濡れた髪は外部からの刺激(摩擦やホコリ)を受けやすく、枝毛が増える環境を自ら作っていることになります。
- 改善策: 洗髪後は10分以内に必ずドライヤーで乾かし始めましょう。タオルドライ後、すぐに洗い流さないトリートメントをつけ、熱から髪を守りながら素早く乾かすことが重要です。
NG習慣④:乾いた状態での「無理なブラッシング」
絡まった髪を、ブラシや手で力任せに引っ張って解こうとしていませんか?
ブラッシングすれば髪が綺麗になると思っている人も多いのでははいでしょうか?
ダメージ毛や細い髪は絡まりやすいため、無理な力でブラッシングすると、髪の繊維が耐えきれず、途中で「プチッ」と切れたり、毛先が裂けたりします。
- 改善策: ブラッシングは必ず毛先から始め、絡まりを優しく解きながら徐々に根元へ進めます。また、ナイロンと天然毛の混合ブラシや、絡まりをほぐす専用ブラシを使い、静電気の発生を抑えることも大切です。
枝毛を加速させる「熱とスタイリング」の共通NG行動
20代・30代女性に多い、スタイリング時のNG行動は、枝毛製造機と化します。
NG行動⑤:コテ・アイロンの「180℃以上」
朝の忙しい時間帯に、素早くクセをつけたいからと、ヘアアイロンを180℃や200℃といった高温に設定していませんか?
- 影響: 髪のタンパク質は、約130℃以上の熱で**タンパク質変性(硬く焦げたような状態)**を起こし始めます。特に180℃以上の高温は、一瞬で髪の内部構造を破壊し、キューティクルを一気に剥がします。これが枝毛の決定的な原因となります。
- 改善策: ヘアアイロンの温度は160℃以下を厳守しましょう。これでも十分にクセはつきます。また、アイロン前には必ずヒートプロテクト効果のあるアウトバストリートメントを使い、髪を熱から守りましょう。
NG行動⑥:長時間同じ場所に熱を当てる
アイロンやコテで、クセが伸びるまで、あるいはカールがつくまで、同じ毛束に何度も何度も熱を当てたり、3秒以上挟み続けたりしていませんか?
- 影響: 髪は熱によって水分を奪われ、パサつきと枝毛を加速させます。
- 改善策: アイロンは一瞬で滑らせるのがプロのテクニック。熱を与える時間を最小限に抑え、熱が冷める過程でクセが定着するのを待ちましょう。
NG行動⑦:ヘアゴムやピンでの「きつすぎる結び方」
ポニーテールやお団子などで、毎日同じ場所をきつく縛り続けていませんか?
- 影響: ゴムで強く圧迫された部分のキューティクルは損傷し、摩擦で削られてしまいます。また、その部分が乾燥しやすくなり、切れ毛や枝毛の原因となります。
- 改善策: 時々結ぶ位置を変えたり、シュシュやスプリングゴムなど、髪への負担が少ないアイテムを選びましょう。
髪の土台を壊す「生活習慣」の共通NG行動
枝毛の根本的な解決は、日々の生活習慣から見直す必要があります。
NG行動⑧:紫外線(UV)対策の怠り
肌には日焼け止めを塗っていても、髪のUV対策を忘れていませんか?
- 影響: 紫外線は、髪の主成分であるタンパク質を破壊し、キューティクルを剥がします。髪が焼け焦げたような状態になり、乾燥と枝毛を招きます。
- 改善策: 日差しの強い日は、UVカット効果のあるヘアスプレーを使用するか、帽子や日傘を活用して物理的に紫外線をカットしましょう。
NG行動⑨:栄養不足と無理なダイエット
美意識の高い20代・30代に多いのが、過度な食事制限による栄養不足です。
- 影響: 髪の主成分はタンパク質です。無理なダイエットでタンパク質、亜鉛、ビタミンなどの栄養素が不足すると、新しい健康な髪が作られず、細く弱い髪しか生えてこなくなります。当然、毛先まで栄養が届かなくなり、枝毛が増えやすくなります。
- 改善策: バランスの取れた食事を心がけ、特に髪の生成に必要な**タンパク質(肉、魚、大豆)やミネラル(亜鉛)**を意識的に摂取しましょう。
NG行動⑩:枝毛を「見つけても放置」
枝毛を見つけたとき、つい手で裂いたり、そのまま放置したりしていませんか?
- 影響: 枝毛は、一度裂けると元には戻りません。放置すると裂け目が髪の根元に向かってどんどん進行し、枝毛がさらに増える原因になります。
- 改善策: 枝毛は、見つけたら必ず美容院でカットしてもらいましょう。自分で切る場合は、切れ味の良いハサミで枝毛の少し上を真っ直ぐに切る必要があります。
まとめ:
枝毛が増える人の共通点は、髪を「熱」と「摩擦」から守る意識が欠けていることです。
枝毛を減らし、美しい髪を維持するために、今日から以下の3点を意識しましょう。
- 摩擦レス: 洗髪時、タオルドライ時、就寝時、ブラッシング時、あらゆる場面で髪への摩擦を最小限にする。
- 熱プロテクト: アイロンは160℃以下、ドライヤー前は必ず熱反応型トリートメントを使用する。
- 栄養補給: 補修成分(ケラチン)を集中して与え、枝毛の進行を食い止める。
この小さな意識改革こそが、3週間後、あなたの髪をパサつきのない、しっとりまとまる美髪へと導く最も確実な方法です。

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