「氷上の競輪」とも称される競技のショートトラック。
フィギュアスケートと同じリンクで行われ、わずか1周111.12メートルの狭いトラックで、数人の選手がひしめき合いながら時速50km近いスピードで滑走します。
追い越しや転倒が相次ぐスリリングな展開から、最後までどの選手が優勝するかわからないスリリングな競技のひとつです。
2026年ミラノ・コルティナ五輪の舞台となるのは、ミラノの「メディオラヌム・フォーラム」。
最後の一歩まで誰が勝つかわからない、予測不能なドラマがいよいよ幕を開けます。
ショートトラックの競技の基本ルールと見どころ

ショートトラックを初めて見る方が、まず驚くのが「タイムを競わない」という点です。
タイムではなく「着順」のサバイバル
400mの大きなリンクでタイムを競うスピードスケートに対し、ショートトラックは「いかに早くゴールラインを駆け抜けるか」という着順争いです。
そのため、序盤はあえて後方に控え、体力を温存しながら終盤の爆発的な追い抜きを狙うといった「位置取り」が重要になります。
コーナーリングの芸術
選手たちが左手を氷につき、体を極限まで内側に倒し込みながら時速50kmでコーナーを曲がる姿は圧巻です。遠心力に抗うそのフォームは、まさに「氷上の芸術」。
リンクをえぐるようなエッジの音をぜひ感じてください。
「追い抜き」のドラマ
どこで仕掛け、どこでインコースをこじ開けるか。
あるいはアウトコースから遠心力を利用して一気に抜き去るか。先行逃げ切りか、後方からの大逆転か。選手同士の駆け引きこそが観戦の醍醐味です。
2026年ミラノコルティナのショートトラックの種目

ミラノ大会では、個人のスピードとチームの絆が試される多様な種目が実施されます。
個人種目では、男女ともに、500m / 1000m / 1500mの種目が設けられています。
- 500m: わずか4周半。スタートの成否がすべてを決める、瞬発力の極致。
- 1000m: 速さとスタミナのバランスが求められる。
- 1500m: 13周半を走る持久戦。ラスト3周からの激しい順位変動が見どころ。
団体のリレー種目では、男子5000m / 女子3000m / 混合2000mの種目が設けられています。
ショートトラックの「華」です。独特なのはバトンがないこと。次の走者の腰を両手で力強く「プッシュ」して加速させながら交代します。この「タッチ」の技術が勝敗の鍵を握ります。
2026ミラノコルティナ五輪日本ショートトラック代表選手
男子チームは、経験豊富なベテランと勢いのある若手が融合し、世界トップクラスの「追い抜き」の技術を誇ります。
吉永 一貴(よしなが かずき)
日本男子のエースであり、精神的支柱。低く安定したフォームから繰り出される力強いスケーティングは、世界中のライバルからも恐れられています。幾多の国際大会を経験した彼が、ミラノで狙うのは悲願のメダル。その勝負強さはチームに勇気を与えます。
渡邊 啓太(わたなべ けいた)
卓越したレース分析能力を持つ「氷上の軍師」。目まぐるしく変わる戦況のなかで、一瞬の隙を見逃さず最善のコースを突く力は随一です。特にリレーでのコース取りやタッチの技術は、日本チームの戦略に欠かせない要素となっています。
宮田 将吾(みやた しょうご)
爆発的な加速力と、アグレッシブなレース展開が持ち味。コーナーの立ち上がりで見せる加速は圧巻で、一度先頭に出れば簡単には譲らない粘り強さを持っています。次世代のエース候補として、ミラノでの大化けが期待されます。
岩佐 暖(いわさ だん)
粘り強いスケーティングと、混戦での強さが光る。どんなに激しい接触や駆け引きがあっても崩れない体幹の強さを持ち、1500mのような長距離種目でも、最後の最後まで順位を押し上げるスタミナと根性を持っています。
ここからは女子チームのご紹介です。
女子は、個々のスピードの向上はもちろん、チームとしての「結束力」が非常に高いのが特徴です。
渡邉 碧(わたなべ あおい)
女子チームを牽引するトップランナー。深いエッジワークを活かしたコーナリングで、アウトコースから一気に抜き去る華麗なスケーティングが魅力です。勝負どころで見せる冷静な判断力は、女子代表の大きな武器となります。
平井 亜実(ひらい あみ)
粘り強く、しぶといレース運びが信条。先行逃げ切りも、後方からの追い上げもこなせるマルチな才能を持ち、特にリレー種目では、前走者のスピードを殺さず次へ繋ぐ「推進力」としての役割を完璧に遂行します。
金井 莉佳(かない りか)
持ち前の瞬発力で、500mなどの短距離種目での活躍が期待されるスプリンター。スタートダッシュで優位に立ち、主導権を握るスタイルは、見ていて爽快感を与えます。世界の強豪と真っ向勝負できるスピードを秘めています。
中島 未莉(なかじま みり)
若手ながら落ち着いたレース運びを見せる期待の星。周囲の状況を把握する能力が高く、インコースを閉める守備的な滑りと、隙を突く攻撃的な滑りのバランスが絶妙です。大舞台での経験を経て、さらなる進化を遂げています。
長森 遥南(ながもり はるな)
チームに新たな風を吹き込む新鋭。恐れを知らない挑戦的な滑りが持ち味で、強豪選手に対しても怯まずに仕掛ける姿勢が、チーム全体の士気を高めます。ミラノでの躍進を最も期待される一人です。
日本代表が目指す「ミラノの表彰台」

ショートトラックという競技は、どんなに実力があっても転倒や判定一つで勝敗が覆る過酷な世界です。しかし、だからこそ面白い。
今回紹介した9名は、個人の技術だけでなく、リレーでの「日本の絆」を磨き続けてきました。バトンタッチ(プッシュ)の瞬間に全てをかけ、前を滑る仲間の背中を押し出す。その連鎖が、世界を驚かせるスピードを生み出します。
2026年、イタリア・ミラノの地。日の丸を背負い、氷上を切り裂く彼らの勇姿に、ぜひ注目してください。
【観戦ガイド】ここを見れば面白さが変わる!
- 指先とエッジの角度:コーナーで氷に触れる指先は、バランスを保つだけでなく、極限の角度で曲がるための「軸」です。
- リレーのプッシュ:交代する選手を後ろから力一杯押し出す動作。ここでどれだけスピードを乗せられるかが勝負の分かれ目。
- 判定の瞬間:レース後のスロー映像チェック。どこまでが正当な競り合いで、どこからが反則か。審判のコールを待つ緊張感も醍醐味の一つ。
2026年ミラノコルティナに出場する世界のライバル

2026年のミラノコルティナで注目の選手は日本の選手だけではありません。
開催地でもあるイタリアのアリアナ・フォンタナ選手も注目すべき選手の一人です。五輪メダル獲得数で歴史を塗り替え続けているレジェンドです。地元イタリアのファンの大声援を受け、ミラノのリンクで有終の美を飾るのか、世界が注目しています。
強豪国に韓国・中国・オランダのこの3カ国は常にメダル争いの中心です。特にオランダのスピードと、韓国の驚異的なテクニックは必見です。
知っておくと100倍楽しい!裏側知識
なぜエッジは中心からずれているのか?
ショートトラックのスケート靴の刃(エッジ)をよく見ると、靴の真ん中ではなく、少し左側にずれて取り付けられています。これは、常に左回りの急なカーブを全開で曲がる際、靴の側面が氷に触れて転倒するのを防ぐためです。
「失格」という名の緊張感
接触が多いため、レース直後に「審判によるビデオ判定」が行われるのが日常茶飯事です。手で相手を押したり、無理に割り込んだりしたと判定されれば即失格。ゴール後の「判定待ち」の時間も、ショートトラック特有の緊張感あふれる時間です。
試合日程と見どころのご紹介

2026年2月の開催期間中、ショートトラックは中盤から後半にかけて大会の盛り上がりを担います。
| 2月10日 | 混合リレーの決勝戦 |
| 2月12日 | 女子500、男子1000決勝戦 |
| 2月14日 | 男子1500m決勝戦 |
| 2月16日 | 女性1000m決勝戦 |
| 2月18日 | 女子3000、男子500決勝戦 |
| 2月20日 | 女子1500、男子5000決勝戦 |
- 大会スケジュール
予選から決勝まで、1日おきに熱戦が繰り広げられます。日本時間の深夜帯になることも予想されますが、ライブ配信やハイライト放送が充実する見込みです。 - 視聴プラットフォーム
NHK、民放地上波での中継に加え、TVer等のネット配信でも視聴が可能です。
まとめ
一瞬の隙、一瞬の転倒、そして一瞬のひらめき。
ショートトラックは、物理的な速さだけでは語れない「人間の知略と勇気」が試される競技です。2026年ミラノの地で、日本代表がどのような戦いを見せ、どんな伝説が生まれるのか。
「最後まで何が起こるかわからない」その興奮を、ぜひリアルタイムで共有しましょう!



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