2026年、イタリアで開催されるミラノ・コルティナ冬季五輪。
数ある競技の中でも、日本が伝統的に強く、かつ「最も過酷」と言われる競技がノルディック複合(ノルディック・コンバインド)**です。
「スキージャンプ」と「クロスカントリー」という、正反対の能力を必要とするこの競技。勝者は古来より「King of Ski(雪上の王様)」と称えられてきました。
この記事では、ミラノ五輪に向けて知っておきたいルールや注目選手、そして日本代表のメダル獲得の可能性について、初心者の方にも分かりやすく解説します!
ノルディック複合とは?「雪上の王様」を決める究極の競技

ノルディック複合は、北欧ノルウェーで発祥した伝統ある競技です。最大の特徴は、以下の2つの種目を1人で行い、その合計成績で順位を決める点にあります。
- スキージャンプ(静・技):瞬発力と空中でのバランス、技術を競う。
- クロスカントリー(動・力):強靭な心肺機能と持久力で雪上を滑走する。
一言で言えば、「鳥のような跳躍力」と「マラソン選手のようなスタミナ」を同時に持つ人間を決める競技です。
なぜ「雪上の王様」なの?
瞬発力のための「速筋」と、持久力のための「遅筋」。この相反する筋肉を極限まで鍛え上げなければならないため、世界で最も過酷なスポーツの一つとされています。
そして、ウィンタースポーツの数ある種目の中でも、最も過酷で、最も栄誉ある称号を冠するのが「ノルディック複合(ノルディック・コンバインド)」と言われています。この競技の勝者は、古くから「キング・オブ・スキー(雪上の王様)」と称えられてきました。
相反する「静」と「動」の能力を、たった一人のアスリートが体現しなければならない。
この究極の矛盾を乗り越えた者だけが、表彰台の頂点に立つことができます。
観戦前にチェック!勝負を決める「グンダーセン方式」

ノルディック複合を観戦する上で、最も重要なのが「グンダーセン方式」というルールです。
仕組みを簡単に解説
- まずジャンプを行う:飛距離と美しさをポイント化します。
- ポイントを「秒」に換算:1ポイントの差を数秒(通常4秒程度)のタイム差に変換します。
- 後半のレースに反映:ジャンプ1位の選手が最初にスタートし、2位以下の選手は換算されたタイム差だけ遅れてスタートします。
後半のクロスカントリーで「最初にゴールラインを越えた選手が優勝」となります。計算の必要がなく、見ていて非常に分かりやすいのが特徴です。
いくら、ジャンプがパーフェクトであっても後半のレースで一位にならないことには意味がないという競技になります。
近年のトレンド:高速化する雪上のバトル
近年のノルディック複合界では、クロスカントリーの高速化が顕著です。
かつてはジャンプで大きな貯金を作れば逃げ切りが可能でしたが、現在はノルウェー勢を中心とした「爆走型」の選手たちが、1分以上の差を容易にひっくり返してきます。
日本代表が勝機を見出すには、前半のジャンプで「圧倒的な貯金(2位以下に1分半〜2分以上の差)」を作るか、あるいは後半の集団形成の中で巧みに体力を温存し、最後の数メートルで刺す「爆発的なスプリント力」を磨くかの、二段構えの戦術が求められます。
2026年ミラノコルティナ五輪での変更点
ノルディック複合には個人と団体があります。
これまで、団体では4人1組で競技がおこなわれていましたが、ミラノコルティナオリンピックでは4名→2名へと変更になりました。
ミラノ五輪の舞台:イタリアの絶景と過酷なコース

2026年大会のノルディック複合は、イタリア北部のドロミテ山塊に位置する「ヴァル・ディ・フィエンメ」で開催されます。
ミラノコルティナオリンピックの会場の特徴
ジャンプ会場となるプレダッツォは、地形の影響で風が非常に読みづらいことで知られています。谷を抜ける突風や、上空で急に変化する風向に対し、空中姿勢を瞬時に微調整する能力が試されます。「風を味方につけた者」が前半戦を制します。
後半の舞台となるクロスカントリーの舞台「テゼロ」は、標高約1,000mの高地に位置します。
平地に比べて酸素が薄いため、選手の心肺には通常の数倍の負荷がかかります。
また、観戦のポイントはコース中盤にある急勾配の登り。ここでライバルを引き離す「アタック」が仕掛けられることが多く、脚力が尽きかけた局面での粘りが勝負を分けます。
低酸素の過酷さとテクニカルな登りが優勝への明暗を分ける結果となる可能性が高いと言われています。
イタリアの美しい山々を背景に、雪上のデッドヒートが繰り広げられます。
2026年ミラノコルティナオリンピックの日本代表の注目選手:メダルを狙う3人の侍

日本(TEAM JAPAN)は、かつて荻原健司さんらが黄金時代を築いた伝統国です。今大会も強力なメンバーが揃っています。
① 山本 涼太「世界屈指のジャンプスター」
現在、世界中のジャンパーが最も警戒するのが山本涼太選手です。
彼の武器は、踏み切りから空中への移行で見せる圧倒的な「揚力」です。世界トップクラスの飛距離を安定して叩き出すその姿は、まさに空を切り裂くトップガン。
山本選手の注目すべきポイントは前半のジャンプで首位に立ち、後続を大きく突き放す「切り込み隊長」です。彼がビッグジャンプを決めることで、チーム全体の士気が高まり、後半戦の展開が日本に有利に働きます。
② 渡部 暁斗「不屈のレジェンド」
日本のエースとして、長年世界と渡り合ってきた渡部暁斗選手。ソチ、平昌と2大会連続で銀メダルを獲得した実績は、もはや説明不要でしょう。5大会連続出場という経験に裏打ちされた冷静な判断力は、極限状態の五輪において最大の武器となります。
レース終盤の心理戦に長けていますおり、チームの精神的支柱といえます。悲願の個人金メダル獲得はもちろん、団体戦では全体の流れを読み、ライバルの疲弊を誘う「チェス」のようなレース展開を主導します。
5大会連続出場となる今大会。長年追い求めた「個人金メダル」への最終挑戦に注目です。今シーズンが最後と挑むこの舞台で、どのような輝きを見せるかは、今大会最大の注目点です。
③ 谷地 宙「新時代の成長株」
若手の台頭として期待されるのが谷地宙選手です。高い身体能力を活かした力強いジャンプに加え、特筆すべきは近年のクロスカントリー能力の向上です。強豪相手にも臆することなく食らいつく姿勢は、次世代のエースとして頼もしさを増しています。
日本の「ダークホース」。山本選手、渡部選手に注目が集まる中、虎視眈々と上位を狙うポジションです。彼がトップ集団に残り続けることができれば、日本に複数のメダルをもたらす可能性が現実味を帯びてきます。
ベテラン勢を脅かす「ダークホース」として、大舞台での覚醒が期待されます。
日本が金メダルを獲るためのシナリオ

現在のノルディック複合界は、絶対王者であるヤール=マグヌス・リーベル選手が引退を発表し、ざわついています。
しかし、リーベルのライバルと言われているヨハネス・ランパルター選手(オーストラリア)、後半のクロスカントリーに定評のあるビンツェンツ・ガイガー選手(ドイツ)、ノルウェーの主力であるイェンス・ルロース・オフテブロ選手( ノルウェー)が名を連ねています。
そこで日本が勝つためには、以下の戦略が重要になると予測されています。
戦略1:ジャンプで「逃げ切る」
日本のお家芸です。山本選手を中心にジャンプで2位以下に1分半以上の差をつけ、後半の追撃を振り切る形です。
戦略2:団体戦でのチームワーク
4人で挑む団体戦では、走力の高い他国の選手に対し、いかに集団で風除けを使いながら体力を温存し、最後の一押しを決めるかが重要になります。
ノルディック複合の観戦を楽しむ3つのポイント
五輪を100倍楽しく見るための注目ポイントを紹介します。
- テイクオフの衝撃(空中戦)
ジャンプ台を飛び出す瞬間のパワーに注目してください。山本選手らの板が空気を掴み、重力を無視して浮き上がる様子は、映像越しでも鳥肌が立つ美しさです。K点(計算上の限界点)を超えるビッグジャンプが出るかどうかが、最初のハイライトです。 - 集団の心理戦(地上戦)
クロスカントリーは単なる耐久レースではありません。誰の後ろを走れば風除けになるか、誰を疲れさせるために先頭に出るか。渡部選手が得意とする「ポジションの奪い合い」に注目すると、雪上の駆け引きが見えてきます。 - 最後1kmのデッドヒート
どんなに長い距離を走っても、勝負が決まるのは最後の数百メートルです。メダル圏内の選手たちが、全身の筋肉を震わせてスプリントする姿は、まさに人間の限界を超えたドラマ。ここでのゴール順が、そのまま歴史に刻まれます。
まとめ:2026年、ミラノで新たな伝説が生まれるのか?
ノルディック複合は、たった一日のうちに「空を舞う華麗さ」と「泥臭いまでの執念」の両方を見ることができる、非常にドラマチックな競技です。
2026年ミラノ・コルティナ五輪は、ノルディック複合という競技の奥深さを再確認する大会になるでしょう。日本勢が「雪上の王様」の称号を再び手にするためには、選手、スタッフ、そしてファンの応援が一体となる必要があります。
これからのW杯シーズンや世界選手権は、すべてがミラノへの伏線となります。苦しみの中で雪面を蹴り、歓喜の中で空を舞う。そんな彼らの生き様を、私たちは見守り続けることになります。
2026年2月、イタリアの空に日の丸が掲げられる瞬間を、ぜひ皆で見届けましょう!




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