社会保険料改革で現役世代の生活を守る|日本維新の会の提言とは

日本は今、少子高齢化という未曾有の課題に直面しています。
働く世代が減る一方で、医療や介護、年金といった社会保障の利用者は増加の一途をたどっています。

この状況を放置すれば、現役世代の負担はますます重くなり、賃上げや結婚・子育て、消費活動にも深刻な影響を及ぼすことは明らかです。

こうした背景から、日本維新の会は2025年6月、「社会保険料を下げる改革提言」を公表しました。本稿では、その内容を詳しく解説します。

医療・介護保険の現状と課題

我が国の年間国民医療費は約47兆円に上り、増加ペースは毎年約1兆円。
将来は2040年に現在の1.7倍に達するとの試算もあります。この膨大な費用は、税金と社会保険料で賄われていますが、現役世代への負担は極めて重く、年収350万円の単身世帯では所得税が年間約7万円である一方、社会保険料は年間約50万円にも上ります。この不均衡は、賃上げの抑制や結婚・子育ての遅れ、さらには消費や投資の低下など、経済全体の活力を奪う要因となっています。

医療・介護サービスの供給側にも構造的な問題があります。人件費比率が高く、規制や既得権が残る中で市場チェックが十分に働きづらい状況です。こうした問題を放置すれば、医療費の増大は止められず、制度の持続可能性は危うくなります。また、利用者側でも負担の不公平が目立ち、医療サービスを利用しない人ほど過大な保険料を負担している現状があります。


医療・介護保険改革の方向性

日本維新の会は、医療・介護分野の「生産性革命」と「持続可能な負担構造」への転換を提案しています。具体的には以下の3つの方向性です。

  1. 供給側の改革
    医療・介護サービス提供側の構造改革により、効率的な運営を促進します。人件費の適正化や規制緩和、既得権の見直しにより、無駄なコストを削減します。また、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やマイナンバーの活用により、データ管理や業務効率を向上させます。将来的には「デジタル歳入給付庁」の創設により、徴収・給付のデジタル化を推進する計画です。
  2. 需要側の改革
    保険制度を利用する側においても、応能負担の徹底や医療サービスを使わない人の負担軽減を検討します。これにより、利用者間の公平性が高まり、現役世代の負担を直接的に軽減できます。
  3. 具体的施策
    • 人口減少地域で不要と予想される病床約11万床の削減
    • 電子カルテの5年以内100%普及
    • OTC医薬品の保険給付見直し、後発医薬品・バイオシミラーの活用促進
    • 低価値医療の保険適用除外
    • 介護現場の負担軽減(ノーリフトケア、介護ロボット導入)
    • 診療報酬・調剤報酬制度の見直し、包括払い方式の導入
    • 窓口負担、高額療養費の負担限度額、所得区分の見直しによる利用者負担の公平化

これらの改革が進めば、国民医療費の総額は年間4兆円以上削減可能と見込まれており、現役世代一人あたり年間約6万円の社会保険料引き下げ効果が期待されます。


第2章:年金制度の現状と課題

年金制度においても、少子高齢化の影響は顕著です。現行制度では、公的年金の基礎年金給付は40年間保険料を納めても月額約69,308円と低水準で、老後の最低生活を保障するには不十分です。さらに、財政検証に使われる前提(出生率回復、経済成長率、外国人労働者の増加など)が楽観的すぎるとの指摘があります。

また、第3号被保険者制度では、被扶養配偶者が保険料負担なしで給付を受けられるため、現役世代との負担・給付の不公平が残っています。マクロ経済スライドも十分に機能しておらず、給付水準が実質的に低下する可能性が高いのも課題です。


年金制度改革の具体策

日本維新の会は、年金制度の抜本的改革として以下を提案しています。

  1. 社会保障国民会議の設置
    与野党、専門家、市民を巻き込み、政局化せずに制度全体を横断的に議論する場を設置します。
  2. 基礎年金の最低保障化
    基礎年金を「最低保障年金」として位置付け、生活を安心して支えられる給付水準を確保。現行の二階建て制度(国民年金+厚生年金)からの転換も検討。
  3. 保険料方式から税・積立方式への転換検討
    現役世代に過度な負担をかけ続ける「賦課方式」の依存を減らし、持続可能性を確保。
  4. 就業促進型制度への転換
    高齢者や女性が働きやすい社会を整え、保険加入者を拡大。制度の裾野を広げることで安定した年金制度を目指します。
  5. 第3号被保険者制度の見直し
    世帯年収3,000万円以上の配偶者を適用除外、段階的廃止も含めて「保険料拠出実績に基づく給付」へ一本化。
  6. デジタル歳入給付庁の設立
    マイナンバーを活用し、税・保険料の徴収と給付を一元化。納めた保険料が将来どう給付に反映されるかを可視化し、信頼性を向上させます。

社会保険料改革で目指す未来

今回の提言により、現役世代の手取り増加や、企業の賃上げ余力の確保、世代間・世代内の負担の公平化が期待されます。医療・介護・年金の三大保障分野を横断的に見直すことで、制度の効率化・透明化を推進し、持続可能な社会保障制度を構築する狙いです。

日本維新の会は、「社会保険料を下げる改革」を最重点政策と位置付けています。現役世代の負担を軽減しながら、将来世代の安心も確保することを目指すこの提言は、現代日本における喫緊の課題に対する具体的な解答のひとつと言えるでしょう。

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