SNSで広がる「こども家庭庁」への疑問の声

2025年10月、SNS上で「こども家庭庁」が再びトレンド入りしました。
しかし、その内容の約8割はネガティブな投稿で占められています。
「7.3兆円の予算はどこに消えているのか」
「成果が見えない」
「存在意義が不明」
といった厳しい声が相次いでいます。
この批判の波は、「こどもまんなか実行計画2025」の発表や、
高市早苗新政権における行政改革議論と重なり、より注目を集めています。
国民は一体、何に不満を抱いているのでしょうか。本記事では、SNS分析をもとに、こども家庭庁をめぐる世論の実態と課題を徹底解説します。
こども家庭庁とは? その設立目的と役割
こども家庭庁は2023年4月に設立された、比較的新しい行政機関です。
その設立目的は「すべての子どもが健やかに成長できる社会の実現」
少子化対策、児童虐待防止、子どもの貧困対策などを包括的に扱う司令塔として誕生しました。
従来、厚生労働省や文部科学省に分散していた子ども関連の業務を一元化することで、より効率的で実効性のある政策実施を目指しています。
内閣府の外局として位置づけられ、約450人の職員体制で運営されています。
しかし、設立当初から
「二重行政ではないか」
「新たな天下り先になるのでは」
といった懸念の声も上がっていました。
構想段階から「政治的意図」や「ポスト調整」が指摘され、期待と不安が入り混じったスタートとなりました。
SNS分析:国民が最も気にしている3つの論点
1. 予算の使い道が見えない(約50%)
最も多く見られる批判が、予算の透明性に関するものです。
こども家庭庁の年間予算は7兆円を超えますが、「どこに使われているのか分からない」という声が圧倒的多数を占めています。
具体的には以下のような批判が目立ちます。
- 外部委託費や調査費の詳細が不明確
- 広報費・広告費への過剰な支出疑惑
- NPO団体への委託における「中抜き」構造への懸念
- 「会議」「計画策定」ばかりで直接支援が少ない
国民が求めているのは、チームみらいが発表した「みらいまる見え政治資金システム」のような、予算の使途を一目で理解できる「予算公開ダッシュボード」のような仕組みです。
どの施策にいくら使われ、どれだけの子どもや家庭に届いたのかを可視化することが、信頼回復の第一歩となるでしょう。
成果が出ていない(約30%)
「設立から2年半が経過したのに、何も変わっていない」という失望の声も多数見られます。
実際、主要な指標を見ても改善の兆しは限定的です。
- 出生率:依然として低下傾向が続く
- 子どもの自殺率:高止まりが続き、改善が見られない
- 不登校児童数:過去最多を更新
- 子どもの貧困率:コロナ禍以降、悪化傾向
「計画ばかりで実行なし」
「庶民への支援より調査と会議ばかり」といった批判が相次ぎ、
SNS上では「こども家庭庁を解体して子ども1人あたり月10万円の直接給付」など、
より直接的な支援策を求める声が高まっています。
政策の効果が現れるには時間がかかるという反論もありますが、国民が求めているのは
「今、目の前の家庭に届く支援」です。
中長期的なビジョンも重要ですが、即効性のある施策とのバランスが課題となっています。
3. 存在意義そのものへの疑問(約15%)
より根本的な批判として、こども家庭庁の存在意義そのものを疑問視する声もあります。
- 「厚労省に戻すべき」
- 「解体して予算を直接支援に回すべき」
- 「屋上屋を架す組織」
高市早苗新政権において行政改革が議論される中、こども家庭庁の「再編論」が浮上しています。組織の統廃合や、より効率的な運営体制への見直しを求める声は、今後さらに強まる可能性があります。
他にも7兆円近くの中抜き疑惑があったりと不信感が募ることばかりがニュースに取り上げられています。
一方で、子ども政策の司令塔として一元的に取り組む体制そのものは必要だという意見も根強く、「組織の是非」ではなく「運営の改善」に焦点を当てるべきだとの指摘もあります。
一方で見られるポジティブな動き
批判が目立つ一方で、こども家庭庁の取り組みには評価すべき点もあります。
児童虐待や貧困支援の専門委員会が設置され、現場の声を政策に反映する仕組みが整備されつつあります。
また、「こどもまんなか実行計画2025」では、3.6兆円を少子化対策に投入する方針が示されました。
具体的な施策としては
- 児童手当の拡充
- 保育所の待機児童解消に向けた予算配分
- ヤングケアラー支援の強化
- 不登校児童への多様な学びの場の提供
これらは確実に前進している分野です。
しかし問題は、これらの取り組みの認知度が極めて低いことです。
広報・情報発信の弱さが、国民の不信感を増幅させている側面は否定できません。
なぜ批判がここまで広がったのか? 背景分析
こども家庭庁への批判がここまで広がった背景には、いくつかの構造的な要因があります。
期待の裏返しとしての失望
日本の少子化問題は深刻さを増しており、国民の関心も高まっています。
こども家庭庁の設立は、この問題への本格的な取り組みを期待させるものでした。
しかし、目に見える成果が乏しいことで、期待が大きかった分、失望も大きくなっています。
透明性の欠如
予算の使途や政策の効果測定が不透明なため、「本当に子どものために使われているのか」という疑念が生まれています。
特に、外部委託や広報費の支出については、詳細な情報開示が求められています。
政治・宗教との癒着疑惑
一部では、特定の宗教団体や政治勢力との関係を疑う声もあります。
政策決定プロセスの透明化と、多様な声を反映する仕組みづくりが必要です。
「見える化」の失敗
最も大きな問題は、支援が「見える化」されていないことです。
実際に支援を受けた家庭の声や、具体的な成果指標の公開が不足しており、信頼構築に失敗しています。
国民が求めているのは、抽象的な理念ではなく、「誰に、何が、どれだけ届いたか」という具体的なデータです。
そのデータの発表がない以上国民から不信感が消えることはないでしょう。
今後の課題と展望
こども家庭庁が信頼を回復し、実効性のある組織として機能するためには、以下の課題に取り組む必要があります。
短期的課題:透明性の確保
- 予算の使途を詳細に公開する「予算見える化システム」の導入
- 支援実績のリアルタイム公開
- 外部委託の内訳と成果の明示
- 広報費の適正化と効果測定
中期的課題:実効性ある支援の拡充
- 所得補助・教育費支援の充実
- 待機児童問題の完全解消
- 不登校・ひきこもり支援の強化
- 虐待防止体制の整備
長期的課題:組織の再定義
- こども家庭庁の存在意義の再確認
- 他省庁との役割分担の明確化
- 効率的な組織運営への改革
- 現場の声を反映する仕組みの強化
高市新政権のもとで行政改革が進む中、こども家庭庁は「信頼回復の正念場」に立たされています。
組織の存続か再編かという議論の前に、まず「何のために存在し、何を成し遂げるのか」を明確にする必要があります。
まとめ:国民が求めているのは「理念」ではなく「成果」
「こどもまんなか」という理念そのものは、多くの国民が共有しています。
問題は、その理念が実感を伴っていないことです。
国民が本当に望んでいるのは、以下の3点に集約されます:
- 透明性:予算がどう使われているかを明確に示すこと
- 即効性:今、困っている家庭に支援が届くこと
- 実効性:数値で測定できる成果を出すこと
「透明性×即効性×実効性」——この3つの要素こそが、次世代の子ども政策に不可欠です。
こども家庭庁には、設立の理念に立ち返り、国民の信頼を取り戻すための抜本的な改革が求められています。
それは単なる組織防衛ではなく、未来を担う子どもたちのための、真に実効性ある政策実現への第一歩となるはずです。
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