米国株式市場に再び「バブルの兆し」が訪れています。
2025年10月1日、伝説の投資家ウォーレン・バフェットが重視する指標「バフェット指数」が200%を突破。
この水準は、歴史上わずか2回──2021年と今回のみ。
AIブームによる期待感が投資家心理を大きく刺激していますが、果たしてこれは“新しい成長の幕開け”なのか、それとも“危険な熱狂”なのか?
バフェット指数とは?──株式市場の「温度計」
「バフェット指数(Warren Buffett Indicator)」とは、
『株式市場全体の時価総額をGDP(国内総生産)で割ったもの』
この比率が高いほど、株価が経済の実力を超えて上昇している可能性があるとされます。
ウォーレン・バフェットはかつてこう語りました。
「この指標は、その時々の株価が割高かどうかを示す最も優れたものさしだ」
「200%で株を買うのは、火遊びをしているようなものだ」
つまり、100%を超える時点で“割高ゾーン”に入り、200%を超えると“極度の過熱”を意味します。
2025年、バフェット指数が200%を突破
2025年9月28日〜10月1日にかけて、バフェット指数は2021年以来の最高水準に達しました。
ついに200%を超え、ドットコム・バブル期(2000年)の150%をも上回る数値に。
この異常な上昇の背景には、次のような要因があります。
- AI(人工知能)ブームによる株式市場の過熱
- 生産性革命への過剰な期待
- 金利や景気への不安よりも「機会損失への恐怖」が優先されている
まさに「株を持っていないと損をする」という心理が、市場全体を動かしているのです。
他の指標も“過熱”を示唆
バフェット指数だけが異常ではありません。
ほかにも複数の指標が同時に警告を発しています。
- シラーPER(CAPEレシオ):過去3番目の高水準(2021年・1999年に次ぐ)
- バンク・オブ・アメリカの20種類の評価指標:19項目が歴史的高値圏
- FRBパウエル議長(9月23日):「株式市場はかなり割高だ」と発言
これらを総合すると、現在の市場はAIブームを背景とした“バブル的高揚期にあると言えるでしょう。
群集心理が市場を動かす
投資家のレオン・クーパーマン氏(Omega Advisors創業者)は、CNBCのインタビューでこう語りました。
「株価が上昇し続けると、人々は ‘株を持たないと損’ と感じて買い始める。
今まさにその状況が起きている。」
つまり、現在の市場は企業の実力ではなく心理的要因によって押し上げられているということ。
「みんなが買っているから買う」という行動が、バブルをさらに拡大させています。
投資家が今できる“冷静な備え”
市場が熱狂しているときこそ、冷静な戦略が求められます。
1. ポートフォリオを分散する
株式だけでなく、現金・債券・金(ゴールド)など、複数の資産に分散することでリスクを軽減します。
2. ファンダメンタルズを重視
「人気」ではなく「実力」で企業を選びましょう。
利益・キャッシュフロー・負債比率などを確認することが大切です。
3. 現金ポジションを残す
株価が調整局面に入った際に、買い増しの余力を持てるようキャッシュを温存しておくと安心です。
4. 群集心理に流されない
短期的な上昇より、長期的な価値を重視するマインドを持ち続けましょう。
まとめ:熱狂の裏に潜む“静かな危険”
バフェット指数200%というのは、歴史的にも稀な警告レベルです。
AI革命の期待が現実化すれば、確かに新しい成長時代が訪れるかもしれません。
しかし、もしその期待が一時的な過信であれば、市場は再び大きな調整を迎えることになるでしょう。
投資において最も大切なのは、「熱狂の中で冷静でいること」です。
バフェットが言う「火遊び」という言葉を、今こそ真剣に受け止めたいところです。
Business Insider Japan|ウォーレン・バフェットが愛用する指標、170%まで急上昇…「200%で株を買うのは火遊び」
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